カメラ映像から人物の異常な動作を即座に自動検出するソフトを、産業技術総合研究所の研究チームが開発した。既に開発済みだった基本技術の処理速度を10倍高めることで、簡単なリアルタイム処理を可能にしたもので、防犯用監視カメラなどへの応用が期待される。
新しい技術を開発したのは、大津展之フェロー、坂上勝彦・主幹研究員、岩田健司・特別研究員、小林匠・研究員、佐藤雄隆・研究員から成るグループ。汎用的な画像認識法に時間軸を加え、動画像に現れる対象の形と動きを表現できるようにした「立体高次局所自己相関特徴法」という独自の手法を既に開発済みだ。これは、米国立標準技術研究所からも世界最高性能という評価を得ている。
今回、さらに新たに開発した並列計算アルゴリズムにより、ノートパソコンでもリアルタイムで動作させることを可能にした。
歩いている人が急に転んだりした場合のほか、ロッカーをこじ開けるような異常動作を普通にロッカーを開閉するシーンを通常動作として学習しておくことで的確に検出できる。
監視カメラは、犯罪防止のため今や不可欠な装置となっているが、すべての映像を常に人が監視することはコストの問題で難しい。大半は犯罪が起きてから不審者を捜すなど、事後のチェックに使われているのが現実だ。
今回の成果は、セキュリティや防災などの監視システムのほか、リハビリテーション、動作の矯正、トレーニングシステム、さらにはロボットの視覚など、幅広い分野での応用が期待できる、と研究グループは言っている。