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白壁を瞬時にフルカラー画像に変える発光技術開発

2007.09.21

新しい発光技術で映し出された画像
(左は通常のスクリーン)
(提供:奈良先端科学技術大学院大学)

 真っ白な壁面を発光ダイオード(LED)の光をあてるだけで瞬時にフルカラーの絵画や写真に変える新しい発光技術を、奈良先端科学技術大学院大学の長谷川靖哉・准教授とセントラルテクノ株式会社が、開発した。

 白く見える壁面にはLEDの光を受けると赤、緑、青の色を出す無色の発光インクが塗ってあり、LEDの光を当てないと元の白い壁面に戻る。白い壁やスクリーンだけでなくフィルムや透明なガラス上でも同様の効果が得られることから、IDカードなどセキュリティー分野のほか、店内装飾や芸術分野、エンターテイメント分野への応用も期待できると長谷川准教授は言っている。

 このような技術がこれまでむずかしかったのは、無色の赤色発光インクがなかったため。従来の赤色発光体は、黄色や橙色をしていたが、長谷川准教授らは、ユーロピウムなど希土類イオンを大きな有機分子で包んだ錯体と呼ばれる化合物にすることにより無色の「赤色発光インク」を作り出すことに成功した。有機分子が紫色LEDの光のエネルギーを吸収する役目を果たし、この光エネルギーが希土類イオンへ移ることで強い光を発する。錯体にすることによって、単なる粉末状の希土類に比べ光の明るさは100倍から1,000倍になった。

 この赤色発光インクと、同じく長谷川准教授らが開発した無色の緑色発光インク、さらに市販されている無色の青色発光インクを使うことでフルカラーの写真や絵画を描き出すことが可能になった。

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