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プロ棋士の頭脳の働き解明する研究スタート

2007.08.06

 将棋のプロ棋士が、局面の状況を判断し、最善の指し手を決める一連の脳の情報処理を解明する研究に、理化学研究所、富士通、財団法人日本将棋連盟が共同で取り組むことになった。

 人間が必要とする知識を得て、それを蓄積する脳の働きのモデルを示すことで、技術者の高い技能を後継者に確実に伝える方法の開発などにも貴重な知見が得られると期待されている。

 理化学研究所・脳科学総合研究センターの伊藤正男・特別顧問らは、これまでプロ棋士が将棋を指しているときの小脳の思考活動を世界で初めて磁気共鳴画像装置を用いて測定し、人間の直感に関する小脳の働きを解明する研究成果を挙げている。

 富士通は、小脳の神経回路の情報処理を解明することで、複雑化する情報システムの安定運用に応用できるのでは、と期待している。

 日本将棋連盟は、直感思考を含め優れた思考能力を持つプロ棋士の集団として、日本の科学技術の発展に貢献する意義を認め、この研究プロジェクトに協力することになった。

 共同研究プロジェクトの成果は、インターネット上の三次元仮想空間「セカンドライフ」内に富士通が所有する「島」でも展示し、世界中の研究者とのオープンな議論や、一般の公開授業を行なう。また、この「島」の中で、将棋の対局を行える将棋の道場を設置し、一般に公開するなど、世界に向けて将棋文化の普及も狙う。

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