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イオン照射でNO2吸収する壁面緑化植物育成

2007.08.03

NO2吸収能力を高めたヒメイタビ(右)、左は親
NO2吸収能力を高めたヒメイタビ(右)、左は親
(提供:国立大学法人広島大学)

 壁面の緑化に適したつる性常緑樹であるヒメイタビにイオンビームを照射、大気汚染物質である二酸化窒素(NO2)を効率よく吸収する突然変異株をつくりだすことに、広島大学と日本原子力研究開発機構の研究チームが成功した。

 広島大学大学院理学研究科の高橋美佐助教と日本原子力研究開発機構の長谷純宏研究員らは、ヒメイタビに突然変異を起こすため、日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所イオン照射研究施設のイオンビームを照射した。その結果、大気中のNO2の取り込み能力が親植物に比べて40〜80%向上した突然変異株を得ることができた。この突然変異株を挿し木で増やしてもNO2を取り込む能力は変わらないことから、「KNOX(ノックス)」(仮称)として農林水産省に品種登録出願した。

 「KNOX(ノックス)」は、親のヒメイタビと見た目は変わらず、NO2吸収能力以外の性質も同じ。高速道路の壁面や工場周辺などの緑化植物として使うことで、自動車の排ガスなどに含まれるNO2を除去する効果が期待できると研究チームは言っている。

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