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子どもを元気にする国づくり宣言を提言

2007.07.20

 日本の子どもの生育環境が急速に悪化していることに危機感を抱く日本学術会議の委員会が、子どもを元気にする環境づくりの戦略をまとめた報告書を公表した。

 この対外報告「我が国の子どもを元気にする環境づくりのための国家的戦略の確立に向けて」は、「子どもを元気にする環境づくり戦略・政策検討委員会」(委員長・仙田満・日本学術会議会員)が、1年半の検討結果をまとめた。子どもの生育に何より大事なのは、自然体験や共同体験のできる遊びの空間が確保されていること、という考えが強く反映されている。子どもの成育環境の悪化を招いたのは「車とテレビに代表される物質的・情報的な環境の変化」と明確に指摘し、生育環境の質の向上を図るための戦略を提言した。

 報告によると、子どもの遊び空間は、1955年ごろから75年ごろまでの20年間で、大都市で約20分の1、地方都市では約10分の1に激減しており、95年ごろまでの次の20年間でさらに2分の1から4分の1に減っている。道路は、長い間、子どもたちの主要な遊び場でもあったが、自動車交通のため道での遊びは全面的に禁止され、60年代に日本の子どもは急激に遊び空間を失っていった。

 さらにテレビの出現により、65年ごろを境に、こどもの遊びは外遊びから内遊びに転換して行き、自然体験、集団体験、運動体験といった多様な体験の機会をさらに失う。

 こうした生育環境の悪化によって、子どもたちは体力・運動能力の低下、生活習慣病の増加、学力の低下、意欲の低下など「子どもの危機」とも呼ぶべき状況に陥っている。

 生育環境の悪化の循環を絶ち、その質を改善するためには総合的な戦略が必要だとして、報告はまず政府および関連機関が「子どもに優しい国づくり・子どもを元気にする国づくり」を宣言することを提言している。その上で、「子どもの安全な遊びと身近な自然との触れあいを確実に保証できる中庭のある中低層集合住宅の建設」や「駐車場の地下化による地上の自然空間と遊びの場の確保」といった数多くの具体的な行動戦略を求めている。

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