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情報通信産業の競争力に懸念

2007.07.04

 情報通信技術の進歩とそれに伴う社会の変化が急激な一方、日本の情報通信産業を取り巻く国際状況は厳しさを増している現状が、3日公表された総務省の「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)から明らかになった。

 白書によると、1997年から2005年の間に、日本はほとんどの主要情報通信機器で世界シェアと輸出額をともに落としている。これは情報通信産業の競争力と、生産拠点としての日本の立地競争力がいずれも低下したことを示す。具体的な製品で見ると、携帯電話端末は世界市場シェアが25〜50%を占めていたのが、10〜25%に低下した。50%のシェアを占めていた液晶パネル、DVDプレーヤーも10〜25%に下がっている。25〜50%だった半導体は10〜25%に、10〜25%のサーバーも10%未満にそれぞれシェアを下げている。ここで取り上げられている機器のうち、世界市場シェアを増やしたのはHDD(10〜25%から25〜50%へ)だけだ。

 一方、それぞれの機器ごとに世界市場に占める日本市場の大きさを見ると、2002年に73.2%だった液晶テレビが2005年には20.7%に急低下したのをはじめ、いずれも日本市場の占める比率が低下している。日本市場のウエイトが年々しぼんでいるにもかかわらず、日本の主要企業は、欧米の主要企業に比べ国内市場志向が強い傾向があることも白書は指摘している。

 それぞれの主要企業の売上高が自国・自地域と国・地域外でどのような配分になっているかで見ると、日本の主要企業の場合、製品売り上げの59.3%が国内であるのに対し、米国は46.4%、欧州は47.8%、韓国に至っては19.5%となっており、国外・地域外の売り上げの方が多い。

 日本企業の技術力については「重要な要素技術数が多い製品ほど技術的に強みがある」と評価する一方で、人材については「情報通信関連学科の卒業者は、米国、中国、インドに比べて少ない」と情報通信産業界に強まっている危機感を追認した形になっている。

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