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緑内障の治療法開発に期待のモデルマウス

2007.06.22

 日本で最大の失明原因となっている緑内障の治療法開発に役立つと期待されるモデルマウスが、東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部の田中光一教授と東京都神経科学総合研究所の原田高幸部門長らによって作り出された。

 このマウスは、光の情報を脳に伝える重要な伝達物質でもあるグルタミン酸を回収する輸送体を破壊されている。田中教授らの研究の結果、マウスの眼に視神経の萎縮と、視覚機能の障害が見られた。眼圧は正常で、日本人の緑内障患者の7割を占める正常眼圧緑内障と似ている。これまで正常眼圧緑内障にはモデル動物がなかったが、このマウスによって発症原因の解明や治療法の開発が可能になる、と田中教授たちは期待している。実際にグルタミン酸受容体の阻害剤であるメマンチンをこのマウスに投与することにより、網膜神経節細胞の変性が抑制できることが確認された。

 緑内障は、最近の国内調査で40歳以上の約5%に発症し、潜在患者数は400万人とも推定されている。

 この研究成果は、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)における研究課題「神経幹細胞の分化過程と神経回路網の再構築」から得られた。

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