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「気候安全保障」を提唱

2007.06.07

 気候変動を単なる環境問題ではなく、「安全保障」としてとらえるべきだとする報告を、中央環境審議会地球環境部会の気候変動に関する国際戦略専門委員会(委員長:西岡秀三・国立環境研究所参与)がまとめた。

 報告は、安全保障の考え方が、従来の軍事的なものから、より幅広いものに広がり、「守るべき価値」も、国の領土保全から、国際社会全体の人間の安全や福祉の向上へ変わりつつある国際的な状況を指摘している。

 早期に適切な対策を講じなければ、気候変動によって干ばつや水不足、国土の水没に伴う環境難民発生の恐れがさらに強まることなどから、「地球公共財」としての気候を守るため、世界の一致した対応が必須だとしている。

 気候変動が世界の国・企業・団体・個人に対する脅威であるという認識を国民、国際社会が共有することで、国際連帯を推進しながら、非軍事的手段により、それぞれの国家、国民・企業の活動、それを取り巻く生態系を気候変動の脅威から守ることができる—。報告は「気候安全保障」という考え方を取り入れることのメリットをこのように説明、非軍事的な手段によって安全保障を発展させてきた日本にふさわしい理念であることを強調している。

 「気候変動に関する国際戦略専門委員会」は、気候変動に関する2013年以降の枠組みを検討する材料を収集・整理することを目的に、2004年1月に設置された。

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