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光スイッチング素子につながる成果

2007.05.14

 次世代光通信などさまざまな応用が期待されている光技術に必要不可欠な素子である「光スイッチング素子」として応用可能な基礎研究成果が、理化学研究所、高輝度光科学研究センター、筑波大学、科学技術振興機構の共同研究で得られた。

 光スイッチング素子というのは、光で光を操ることのできる素子。研究チームは、鉄と水素、炭素、窒素、硫黄からできているスピンクロスオーバー錯体と呼ばれる化合物に着目した。スピンクロスオーバー錯体は、零下240℃という極低温で可視光を当てると磁気的特性が大きく変化することが分かっていた。しかし、光を切った後も、この状態が続くため、光スイッチング素子として使うのは難しいと考えられていた。

 ところが、この温度より高い液体窒素で冷却できる温度(約マイナス180℃)で緑色の光を当てると、光を切った際、磁気的特性が元の状態に瞬時に戻ることを研究チームは確認した。

 液体ヘリウムを利用する大型冷却設備による極低温環境を必要としないため、デバイスの小型化や軽量化にもつながる成果だ、と研究チームは今後の研究の進展に期待している。

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