人里に姿を現すクマの数が増え、昨年度の捕獲数は5,185頭に上ることが環境省の集計で明らかになった。これは統計のある1923年以来、最大でこれまでの最高だった2004年度のほぼ倍に相当する。
捕獲されたクマの種別は、ツキノワグマが大半を占めており、ヒグマが339頭だった。
捕獲されたクマのうち、約9割、4,679頭が捕殺されている。
環境省が、3月に公表している「クマ類出没対応マニュアル−クマが山から下りてくる−」によると、ツキノワグマは、1970年には、年平均2,300頭が捕獲されていた。90年代には捕獲規制によって約1,500頭まで減ったが、2000年代になり、再び増えている。特に多かったのが2004年と昨年で、クマのえさとなるドングリが凶作だったために、えさを求めて人里まで下りてくるクマが増えたとみられている。
このほか、昨年度、全国で最も捕獲数が多かった長野県では、夏季の主要なえさであるスズメバチの生息数が減少したことも影響したとみられている。
クマが出没しやすい地域・住民の対応としては、クマを引き寄せる原因となる生ゴミや果実類などを放置しないほか、出没ルートとなる道路の法面、河川敷の下刈り、刈り払い、さらに長期的対策として、クマの生息適地になっている里地里山の二次林(かつては薪炭林だった)の適正な整備などが必要としている。