宇宙航空研究開発機構の田島道夫教授らは、太陽電池の性能を大きく左右する「多結晶シリコン基板」の品質を、わずか1秒でチェックできる画期的な評価法を開発した。
フッ酸水溶液浸フォトルミネッセンスイメージング法と呼ばれるもので、成果は6日発行の応用物理学会・英文論文誌「Japanese Journal of Applied Physics」に報告された。
新手法では、半導体を製造する際に洗浄剤として用いられているフッ酸水溶液にシリコン基板を浸し、そこへ光を照射して、基板から発せられた蛍光像を高感度CCD(電荷結合素子)カメラで撮像する。基板中の欠陥は、蛍光像の中に鮮明に映し出される。
これまでは、導電率変化をマイクロ波で一点一点走査して品質を評価していたが、新手法ではCCDカメラで一気に読み取るため、従来の1,000分の1以下の速さで測定でき、分解能も20倍ほど向上した。
太陽電池の性能評価はこれまで、基板に太陽電池をはり付けてから行うことが多く、生産性などに課題があった。しかし新手法では、基板の製造時点で性能評価できるため、無駄な後工程が必要ない。さらに、洗浄剤として用いられているフッ酸水溶液を使うため、製造ラインに組み込みやすく、太陽電池の生産性向上や高効率化に大きく貢献する。