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環境調和型の金クラスター触媒開発

2007.04.04

 ナノサイズまで細かくした金の触媒能力を利用し、環境に悪影響を及ぼさないアルコール酸化反応法を、科学技術振興機構の研究開発チーム(研究総括・小林修東京大学大学院教授)が開発した。

 アルコール酸化反応は、医薬品をはじめとする有機合成の最も重要な反応の一つ。従来の方法は、クロム酸化剤などの金属試薬を酸化剤として大量に必要とし、金属試薬を酸化剤として使用しない方法も適当な触媒がないといった問題を抱えている。

 新しく開発された触媒は、金を高分子の中に取り込んだ後、高分子の架橋反応という工夫で、触媒の安定化を実現した。この触媒を利用することにより、大気中の酸素を酸化剤とし(金属試薬が不要)、常温常圧という普通の条件下で、アルコール酸化反応を効率よく進めることを可能にした。

 触媒は回収して再使用が可能で、反応の副生成物は水だけ。環境調和型反応システムであることから、今後、この「金クラスター触媒」は化成品や医薬品合成などへの応用だけでなく、幅広い応用が期待できるという。

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