松本和子元早稲田大学理工学術院教授による公的研究費不正使用について10年前にさかのぼって調べていた文部科学省は、新たに2つの研究プロジェクトで48件、2,981万円の不正使用があったことが判明した、と29日発表した。
文部科学省は、昨年12月、松本教授の不正使用額が2億1,240万円に上ることを発表済みで、今回の調査結果と合わせると、同教授の研究費不正使用額は、2億4,221万円になる
新たに判明したのは、独立行政法人科学技術振興機構の研究費で、チーム型の研究プロジェクトであるため、多数の関係者に聞き取り調査する必要があったことなどから、調査結果をまとめるのに時間がかかっていた。
発表によると、松本教授がかかわった1997〜2002年度の戦略的基礎研究推進事業と2002〜06年度の戦略的創造研究推進事業で、取引先企業6社に対し、納品書の内容と実際の納品物が異なっていた付け替えが29件、2,065万円、取引実態のない架空請求が19件、915万円の不適正な経理処理が明らかになった。私的な流用はなかった。
この調査結果を受けて、科学技術振興機構は6社に対し、全額の返還を求めるとともに、機構との取り引きを3カ月間、停止する措置をとる。
継続中の松本教授がかかわる研究プロジェクトについては、研究の中止措置を既にとっているが、さらに同教授に対し4月1日から5年間、科学技術振興機構が所掌する競争的資金制度への申請資格と、新たに共同研究者として参加する資格を停止する措置を決めた。