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「量子のもつれ」高エネルギー領域でも確認

2007.03.02

 アインシュタインらが提唱した「量子のもつれ」現象が、100億電子ボルトという高エネルギー領域でも起こることを、高エネルギー加速器研究機構の実験グループが観測することに成功した。

 「量子のもつれ」については、これまで可視光、分子、K中間子などエネルギーがより低い領域では、観測されていた。今回の観測成功により、1電子ボルト(可視光の実験)から100億電子ボルトという非常に幅広いエネルギー範囲で起こることが、確かめられたことになる。

 同機構は、KEKB加速器で電子と陽電子を衝突させることにより、B 中間子と反B 中間子を大量に発生させ、その粒子崩壊過程を詳しく調べることによって物質と反物質のわずかな性質の違いを究明する「Belle実験」を、世界の約50の大学と研究機関、約400名の研究者とともに進めている。

 今回の成果は、同実験グループがこれまでのデータを解析した結果、初めてわかった。

 1935年にアインシュタインらが発表した「もつれた状態」に関する論文は、20世紀の物理学論文の中で頻繁に引用されてきた。粒子が「もつれた状態」とは2個の粒子が、それぞれが独立に存在するのとは違った状態で存在するというもので、粒子は離れたところにある別の粒子のことを瞬時にして「知る」ことができることになる。

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