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IPCC報告書の概要を公表

2007.02.06

 環境省など4省庁は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会報告書の概要を公表した。

 前回、2001年の第3次報告書と変わった個所や、新しく付け加えられた見解は次の通り。

 人為起源の温室効果ガスの増加によって、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどがもたらされた可能性がかなり高い。(第3次報告書では「過去50年間に観測された温暖化の大部分は、温室効果ガス濃度の増加によるものであった可能性が高い」)

 過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74℃(1906〜2005年)上昇。最近50年間の長期傾向は、過去100年のほぼ2倍。(第3次報告書では、過去100年(1901〜2000年)の変化傾向は、100年あたり0.6℃(0.4℃〜0.8℃)上昇)

 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、約1.8度℃(1.1℃〜2.9℃)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では約4.0℃(2.4℃〜6.4℃)と予測。(第3次報告書ではシナリオを区別せず「1.4℃〜5.8℃」)

 1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090年から2099年)の平均海面水位上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、18㎝〜38㎝である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では26㎝〜59㎝と予測。(第3次報告書の「9〜88㎝」より不確実性が減少)

 20世紀を通じた海面水位上昇量は0.17m(0.12m〜0.22m)。(第3次報告書では、「20世紀中の地球の平均海面水位上昇量は0.1m〜0.2m」)

 2030年までは、社会シナリオによらず10年あたり0.2℃の気温上昇を予測。(新見解)

 積雪面積や極域の海氷は縮小。北極海の晩夏における海氷が、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある。(新見解)

 大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸性化が進むと予測。(新見解)

 温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある。(新見解)

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