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IPCC報告受け研究者が緊急アピール

2007.02.05

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、日本時間2月2日早朝、第4次報告書のうち、気候変動の科学的知見を検討していた第1作業部会の報告書を発表した。

 それによると、地球の平均気温はこの100年間でセ氏0.74度上昇しており、21世紀末までの気温上昇は2.4〜6.4度に達すると予測している。気温上昇の理由について、人間の活動による二酸化炭素など温室効果ガスの排出増によってもたらされた可能性がかなり高い、とこれまでの報告書よりも踏み込んだ表現になっているのが特徴だ。

 この報告書公表を受けて、鈴木基之・中央環境審議会会長ら気候変動を研究している日本人研究者15人が、2日夕「気候の安定化に向けて直ちに行動を!−科学者からの国民への緊急メッセージ」を発表した。

 メッセージは「気候が急激に変化している。この気候変化が人為的温室効果ガス排出によるものであることは、科学的に疑う余地はない」と明確に指摘している。

 その上で「もはや根拠なく科学的な知見の不十分さを口実に対応を躊躇する時ではない。世界に先駆け『低炭素社会の実現』という目標を共有し、私たち国民ひとりひとりが、自分の生活を見直し、温室効果ガスの低減のために何ができるか考え行動することを改めて呼びかけたい。今、行動を開始すれば、子どもたちと人類の未来を守ることができる」と呼びかけている。

 鈴木基之氏以外のアピールに名を連ねている研究者は次の通り。

 住明正(東京大学教授)、高橋潔(国立環境研究所主任研究員)、西岡秀三(同理事)、野尻幸宏(同地球環境研究センター副センター長)、橋本征二(同主任研究員)、原沢英夫(同社会環境システム研究領域長)、松野太郎(海洋研究開発機構特任研究員)、三村信男(茨城大学教授)—以上の研究者は、IPCC各作業部会の各章総括代表執筆者あるいは代表執筆者か査読編集者を務めている。

 近藤洋輝(海洋研究開発機構特任研究員)、須藤隆一(東北工業大学客員教授)、武内和彦(東京大学大学院教授)、安岡善文(東京大学生産技術研究所教授)、山本良一(同教授)、渡辺正孝(慶応大学教授)

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