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IPCC第1作業部会報告書骨子

2007.02.05

 気候変化が深刻化していることを警告したIPCC第1作業部会報告書の主要な科学的知見は次の通り(日本人研究者15人による緊急メッセージ「気候の安定化に向けて直ちに行動を!」から抜粋)

 「加速する温暖化と顕在化する影響」
過去100年間の地上平均気温の上昇はセ氏0.74度。1850年以降の温暖な年の上位12年のうちの11年が、ここ12年に生じており、温暖化が年々加速していることが分かる。

 地球の貯熱量の増加は主として海水温の上昇として認められ、海面水位は海水の膨張も原因となって20世紀中に約17センチ上昇した。

 北極海の海氷面積は近年急速に減少し、永久凍土の融解も進んでいる。

 グリーンランド氷床の融解が最近の詳細な観測により確認されており、地球が温暖化しているのは疑う余地がない。

 温暖化や大気中の水蒸気の増加とともに、集中豪雨が世界的に増加する一方、干ばつの影響を受ける地域も増加しつつある。

 熱帯低気圧(特に北大西洋のハリケーン)の強度が増加していることが示唆されている。

 「人為的な影響は明らか」
IPCC第3次報告書(2001年)以降、人間の活動が気候に与える影響についての理解がいっそう深まった。20世紀半ば以降に観測された地球温暖化は、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い。この50年の世界的な気候変化が、自然の変動だけで引き起こされた可能性は極めて低い。

 「このままの排出の継続は危機的状況を生む」
温暖化が進行すると、気候の不安定さが大きくなり、異常気象の頻度が増加する。

 引き続き化石燃料に依存しつつ、高い経済成長を目指す社会が続くならば、今世紀末には、平均気温の上昇は、セ氏4.0度(2.4〜6.4度)に達すると予測される。

 21世紀中に大規模かつ急激な変化が起こる可能性はかなり低いものの、温暖化の進行によって、大西洋の深層循環が弱まる可能性がかなり高い。

 多くの研究によると、気候変化がさらなる温室効果ガスの排出を招くという悪循環が生じることも示唆されている。

 このような温暖な気候が数千年続くと、グリーンランドの氷は最終的には消滅してしまい海面水位を7メートル上昇させるだろう。

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