ニュース

有害化学物質を分解・無害化できる移動式処理装置

2007.01.17

 フロンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害化学物質をどこでも分解・無害化できる移動式廃棄物処理装置を、東京工業大学理工学研究科の渡辺隆行・助教授とカイロンエンプリーデ社が、共同で開発した。

 大型トラック(10トン)に必要な装置類すべてを搭載し、動力もトラックのエンジンから得るため、保管場所から移動させるのが厄介なPCBや硫酸ピッチなどの有害物質でも、その場で処理できる。システム1台の価格は1億9500万円で、1台はほぼ完成しており、2台目を製作中という。

 必要な電力は、トラックの走行に使われるディーゼルエンジンで、直流発電機を回すことによって得る。これで、水蒸気をプラズマに変える「水プラズマ発生装置」を動かし、セ氏1万〜2万度の高温プラズマによって廃棄物を原子レベルに分解し、無害化する。

 水プラズマ発生装置は、アルゴンや空気などのガスを使う普通のプラズマ発生装置に比べ、電力効率が高く、電流が低い特徴がある。

 さらに、通常の分解方法ではフロンが分解する過程で地球温暖化ガスである4フッ化炭素が生成するのに対し、水プラズマによる分解では、4フッ化炭素ができないという利点もあるという。

ページトップへ