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研究費不正対策検討会報告書を公表

2006.12.26

 文部科学省は26日、研究費の不正対策検討会報告書を公表した。検討会は13日で終了しているが、最終回でもさまざまな意見が出たため、主査(石井紫郎・東京大学名誉教授)預かりで、修文し、正式な3部構成の報告書としてまとめられた。

 第1部では、競争的研究資金などに関する不正の現状と課題をまとめている。代表的な例として、謝金・給与、物品購入費、旅費の3タイプの不正について、具体的な不正のやり方と、不正で得た資金の使途などについて紹介している。

 また、こうした不正が起こる背景として、不正を不正と感じない研究者の意識の問題、内部監査体制ができていなかったり、調査や懲罰の基準が不明確であるなど、研究機関の組織の問題、競争的研究資金等の制度・運用上の問題があると指摘している。

 第2部が、報告書の中心となる「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」だ。

 文部科学省関係の競争的資金を中心とした公募型の研究費について、配分先すべての機関がそれらを適正に管理・監査するために必要な事項をまとめている。

 具体的には(1)機関内の責任体系の明確化、(2)適正な運営・管理の基盤となる環境の整備、(3)不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施、(4)研究費の適正な運営・管理活動、(5)情報の伝達を確保する体制の確立、(6)モニタリングのあり方−についてまとめた。

 一方、文部科学省の行うべきこととして、研究機関に対するモニタリング、指導および是正措置のあり方を規定している。

 ガイドラインで定めた措置を各機関が実施しているかどうかを、各機関が研究資金を応募する時に報告させる。いくつかの機関をサンプリングして、実地調査を行い、体制が不十分であれば是正するよう通知する。場合によって研究資金の削減などのペナルティを課す。

 第3部では、競争的研究資金などの公的資金に関する制度的な問題への対応策として、今後の公的資金制度のあり方について提言している。

 繰り越し明許制度の一層の簡素化や、適用条件を科研費で認められているように拡大すること、研究資金の費目間流用の弾力化、間接経費の大幅拡充などを求めており、今後の制度改革の指標になりそうだ。

 文部科学省では、第2部の管理・監査のガイドラインについて、早々にパブリックコメントを実施し、来年2月を目途にガイドラインを決定する予定。

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