日本の数学研究は活気を失っている、と米国の政府関係者から見られていることが、科学技術政策研究所の調査報告「米国の数学振興政策の考え方と数学研究拠点の状況」で、明らかにされた。
同研究所は、すでに5月に公表した報告書「忘れられた科学-数学」で、数学の研究環境が、日本は諸外国に比べて見劣りする状況に陥っていることを指摘している。
今回、さらに全米科学財団(NSF)、エネルギー省など米国の政府関係者や、数学研究者に対するインタビュー調査などを進め、より具体的に問題点を指摘した。
報告書によると、米国では、近年、数学研究予算が、NSF予算全体の増加率を超える割合で増加している。それでも、近年、年25〜30%の伸びを示している中国に対して、危機感を抱いている実態がある。
米連邦政府関係者は、日本に対しては「明らかに数学に対する投資は十分でない」とみており、「数学研究拠点を整備すべきだ」と考えている。
さらに、報告書は、米国を初め各国で数学研究拠点が次々に設立されている現状とともに、こうした研究拠点に必要な条件として、研究者が議論しやすい環境と、数学各領域間あるいは数学と他分野の研究交流機能を整備することの重要性を指摘している。