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脳の情報処理は、近接する細胞の同一行動がかぎ

2006.10.04

 脳が正しい情報処理をすることができるのは、近接する細胞のほとんどが同時に反応するためであることを示す研究成果が、科学技術振興機構の研究プロジェクト(研究代表者・櫻井芳雄・京都大学大学院教授)によって得られた。

 脳のどの部分がどのような働きに関係しているかについては、多くのことが分かりつつある。しかし、脳がどのように情報を処理しているかについては、現在のところほとんどわかっていない。

 多数の細胞の活動を同時に計測し、かつ、それらを個々の細胞の活動に正確に分離することが技術的に不可能だったためだが、櫻井教授らは、独特の方法で、サルに視覚刺激を与えた場合に、近接する細胞がどのように反応するかを計測することを可能にした。

 この結果、0.1ミリの狭い範囲内にある近接した細胞同士の約80%が、0.001-0.005秒の精度で、同時反応していることが確かめられた。また、これら細胞同士の45%は与える視覚刺激を変えると、同時反応を示さなくなることも分かった。

 細胞一つ一つの活動は不安定であるにもかかわらず、脳がなぜ正しい情報処理ができるのかという大きな疑問の解明に近づく研究成果で、今後、脳の情報処理法を模したり、活用したりする機械を作るうえでも大きなヒントを与える、とみられている。

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