苦いだけでなく大量に食べると消化不良を起こすタンニンを無害にする仕組みを、ネズミ類が体内に持っていることが、森林総合研究所、北海道大学、神戸大学の共同研究で明らかになった。
ミズナラやコナラなどの種子であるドングリには、タンニンが約10%という高濃度で含まれている。アカネズミを使った研究の結果、唾液中のタンパク質とタンニンが安定した複合体を形成し、タンニンの作用を阻害することが分かった。さらに、この複合体が、タンニンの分解酵素を作り出す腸内細菌の働きで、この複合体を分解、再利用することによって、アカネズミはドングリを餌として利用できることが明らかになった。
ドングリは、ネズミの餌になることで、あちこちに運ばれ、ネズミによって一部土中に貯蔵された中から、芽が出て新しい木が育つ。ネズミとドングリの関係を明らかにすることで、森林の保全、特に里山の広葉樹更新を考える上で重要なデータが得られる、と研究チームは期待している。