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総合科学技術会議で研究費繰り越し議論

2006.08.01

 7月26日に開かれた総合科学技術会議で、研究費が原則として翌年度に繰り越せない現行制度について見直しの必要が議論されたことが、31日、同会議が公表した議事要旨で明らかになった。

 この問題でまず発言したのは、免疫学者で日本学士院会員でもある本庶佑議員。「いわゆる単年度主義というものが研究には基本的には合わない。土木工事だとそこでやめるということになるが、研究をやっていると、ここでいったん中止して次の研究費がくるまで寝ているというわけにはいかない。この問題を解決していただくことが研究費の不明朗な使用の防止にも役立つわけであり、ぜひ今後ともこの問題に積極的に取り組んでいきたい」と述べた。

 これに対し、谷垣禎一議員(財務相)が「科研費については平成15年から使えることになっていたが、もともとが公共事業などを念頭に置いたものであり、繰越明許できる場合がやむを得ざる自然災害などであったため、今年から大分使い勝手を改め、申請していただくのも簡単になったはずだという報告を受けており、もしまたこういうところが使い勝手が悪いというようなことがあったらどんどんご指摘いただきたい。総合科学技術会の元議員の不正流用問題というのは由々しき問題だが、仮に使い切れなかったというようなことが背景にあったとするのならば、やはり予算を早く配分する、それから、繰越明許をやりやすくするというようなことが不正防止につながってくるのかと思う。それと重複排除など、いろいろと指摘されていることはあるが、その辺りはわれわれも制度の改善に努めたいと思うのでよろしくお願いしたい」と、見直しの必要を認めた。

 文部科学省や厚生労働省の科学研究費補助金については、平成15年度から「繰り越し明許費」として、年度繰り越しが可能になっている。しかし、現実には、繰り越しは非常に難しいというのが実態になっていた。

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