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数学立て直しに研究拠点構想を提言

2006.06.28

 深刻な状況にある日本の数学研究を立て直すため「ネットワーク型科学技術数学研究拠点構想」を実現することが必要、という提言を数学者たちがまとめ、28日公表した。

 この提案は、5月17日に開かれた日本学術会議シンポジウム「礎(いしずえ)の学問・数学」の討議をもとに、シンポジウムの司会者である上野健爾・京都大教授(日本学術会議特任連携会員)が、最終的にまとめた。

 提言によると、数学は、あらゆる科学の基礎としての役割を長年、果たして来たにもかかわらず近年、日本の科学技術政策でも忘れられた存在になっていた。

 諸科学・産業技術研究者と数学研究者が連携し、最高水準の数学研究交流の場となる「ネットワーク型科学技術研究拠点」をつくり、諸科学・産業技術の振興と、数学研究の活性化を目指すことが必要、と強調している。

 日本の数学の研究水準が低下していることは、第3期科学技術基本計画を策定する作業の過程でも明らかになっていた。欧米専門家たちから「世界をリードする研究者の数が限られ、近年、活動のレベルが低下傾向にあるようにみえる」と厳しい評価をされている事実が、5月のシンポジウムでも科学技術政策研究所の研究官から報告された。

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