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日本学術会議の出番では?東通原発の活断層問題

2012.12.21

 各新聞、放送の報道によると、原子力規制委員会の専門家チームは20日、東北電力東通原発の敷地内を通る断層が活断層である可能性が高いとの見解で一致した。同原発は、2005年に営業運転を開始している(東北地方太平洋沖地震で停止し、現在定期検査中)。東北電力は同日、「発電所計画段階から詳細な地質調査を行い、活動性はなく耐震設計上考慮する必要がないことを確認している。また、国の安全審査の中で多数の専門家の確認を得た上で設置許可を受けたもので、さらに、その後の最新の知見を踏まえ、追加地質調査などを行い、あらためて活動性がないことを確認している」というコメントを発表した。

 専門家チームの判断と東北電力のコメントから、疑問を持った人はいないだろうか。東北電力がこれほど主張するには、それを支持するあるいは支持した地質学者あるいは地震学者たちがいるはず。それらの学者と原子力規制委員会の専門家チームの判断がこれほど違うのはどうしてなのか、と。

 この際、今回、活断層と判定した原子力規制委員会の専門家チームと、東北電力の判断に裏付けを与えた地質学者や地震学者たちが公の場で意見を戦わせたらどうだろうか。そうしないと東北電力の主張も一般国民に対して説得力を持たないと思われる。さらに、活断層と判定した専門家チーム、さらには原子力規制委員会が今後、さまざまな方面からの要請で科学的な結論を出しにくくなる、といった懸念も払しょくできるのではないだろうか。

 学問的な論争をする公開の場を設けるのは、日本学術会議が最も適任であり、そうすることは日本学術会議の責任でもあるように思うが、どうだろう。

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