レビュー

日本の大学が国際評価で見劣りするのは

2008.10.14

 英国のザ・タイムズ紙系列の専門誌「ザ・タイムズ・ハイヤー・エデュケーション・サプリメント」が9日に発表した、ことしの「世界のトップ200大学」に東京大学など日本の10大学が入っている。

 上位にランクされた日本の大学を上位から並べると(かっこ内が世界の順位)、1位が東京大学(19)、2位が京都大学(25)、3位が大阪大学(44)、4位が東京工業大学(61)、5位が東北大学(112)となっており、以下6位(120)名古屋大学、7位(158)九州大学、8位(174)北海道大学、9位(180)早稲田大学、10位(199)神戸大学の順となっている。

 昨年の世界ランクと比較すると、順位が変わらないか、わずかに下がった大学が大半で、ランクを上げたのは、90位から61位まで上昇した東京工業大学と、46位から44位に上がった大阪大学だけだった。

 ちなみにトップ10にランクされたのは、1位から順にハーバード大学、イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、カリフォルニア工科大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、シカゴ大学、マサチューセッツ工科大学、コロンビア大学で、米、英両国の大学で占められている。

 さて、日本の大学は国際的に見て何が劣っているのだろうか。最も目立つのは外国人スタッフの数である。もっともよい大学を100とした場合の指数で見ると、東京大学が27、京都大学が30、大阪大学が25、東京工業大学が25、東北大学が38。世界のトップ5、ハーバード大学、イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、カリフォルニア工科大学の数値が、それぞれ87、89、98、96、100であるのと比べると、どうしようもない差が付いている。

 次に数値が低いのは外国人学生の数だ。世界のトップ5大学が81、71、95、96、93という数値に対し、日本の上位5大学は40、26、28、45、31でしかない。

 スタッフ当たりのサイテーション(論文被引用率)指数では、日本の上位5大学が、78、91、70、87、63と、世界のトップ5大学(100、98、89、85、100)に対して、まずまず健闘している。「Peer Review」(同分野の専門家による評価)でも、日本の上位5大学が、100、99、90、77、63と世界のトップ級ないしそこそこのレベルにあるのを見ても、足を引っぱっている要因が何かは明らかだ。

 もっとも、大学に対するこの種の評価に対しては、「客観性を重んじているというものの一面しかとらえていない。主要な評価になるのは疑問」(ノーベル物理学賞を受賞した小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授。10日、日本学術振興会主催の記者会見で)といった声も聞かれるが。

関連記事

ページトップへ