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中国西部地震の大きさ

掲載日:2008年5月20日

中国四川省を震源とする大地震は、土石流による2次災害が伝えられるなど被害は当初の予想をはるかに上回ることが明らかになっている。中国国務院の発表によると、被災面積は北海道の1.2倍に相当する10万平方キロに及ぶと推定されている。

東京大学地震研究所など国内の地震関係機関、研究者がこれまで明らかにしたところでは、この地震を起こしたのは四川盆地とチベット高原との地形境界をなす龍門山衝上断層。この断層は北東-南西方向に伸びており、断層は北東下がりに傾斜している。断層の動きは、北東部分の地層が、南西側の地層に対してずり上がる逆断層だ。

地震発生2日後の14日に現地入りした林愛明・静岡大学教授の速報が東京大学地震研究所のホームページに載っている。林教授によると、この断層の南側部分約100キロの長さに及ぶ逆断層が地表で確認できた。地震で動いた大きさは最大で縦方向に3メートル。断層の傾斜角度が30度とするとすべり量は6メートルになる。今回、地表で確認された以外に、北部でもさらに200キロもの長さに及ぶ地表断層が確認されるのは確実とみられ、結局、今回の地震で動いた(地震を起こした)断層は、270~320キロもの長さに及ぶ、と林教授は報告している。

八木勇治・筑波大学大学院准教授も地震波形を解析した結果、今回、四川省で発生した地震の断層の長さは、250~300キロと推定している。断層の動きは南西端で始まり、逆断層のすべりが約50秒継続、続いて地震発生の約60秒後に震源から約100キロ北東で2番目の動きが始まった。こちらは横ずれの動きが主だったと見ている。「日本で言うと、東京から仙台までの距離が震源域なので、この地震の大きさが想像できるだろう」と八木准教授はブログで語っている。

産業技術総合研究所地質調査総合センターのホームページに載っている「震央周辺地域の地質構造と歴史地震」図によると、龍門山衝上断層では今回の地震のようなマグニチュード(M)8クラスの大地震の記録こそないもののM6クラスの地震は過去に数回起きている。範囲を広げると北、西、南側の断層ではM8クラスを含めM6以上の地震が数多く発生していることが分かる。中国で地震が少ないのは、中央部から東部にかけてであって、逆に西部は過去、大地震が多発している地域であることがこの図で一目瞭然だ。

宇宙航空研究開発機構は、18日に行った陸域観測技術衛星「だいち」による被災地の緊急観測結果を公表した。四川省の省都、成都の北東約135キロにある曲山鎮を撮った画像の一枚から、大規模な土砂崩れによって町の中央部付近まで覆われてしまっている様子が、地震前の画像と比較してはっきりと分かる。

もう1枚の画像からは土砂によって道路や橋が寸断され、川が増水している様子が見て取れる。

陸域観測技術衛星「だいち」による曲山鎮の観測画像
陸域観測技術衛星「だいち」による曲山鎮の観測画像
地震前(左)に比べ、土砂崩れで町の中央付近まで埋まってしまっているのが分かる
陸域観測技術衛星「だいち」による曲山鎮の観測画像
地震前(左)にはっきり写っていた川沿いの道路が土砂崩れによって消失、右上の橋も崩壊したか、川の増水のため水没してしまっている
(提供:宇宙航空研究開発機構)
【この記事へ読者コメント】  
中国西部地震の大きさを日本にたとえるなら
投稿者:K_Tachibana 2008年5月21日掲載
中国四川省の地震の話題を取り上げていただき,ありがとうございました. 先週末、展示解説の科学コミュニケーションボランティアに行った、都内の科学館においても、空き時間の話題はもっぱら四川省での地震についてでした。

私は東北方面に行く機会があまりないので、距離感がつかみにくかったのですが、東京-仙台までの距離というと、東海道エリアに置き換えると東京-米原間、あるいは大阪-三島間くらいとほぼ同等ということですよね。距離のたとえは、ふだんの行動範囲や立ち位置によって個人差が出ると思います。

日本で、これくらいの規模の地震はシミュレーションされたことがあるのでしょうか。地震予知の研究もさることながら、現実的には地震防災と有事の際の対応をどうするかといったことを、国家レベルできちんと押さえておく必要があると思いました。
 
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