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特許登録件数で日欧引き離す米国

2007.03.19

 情報通信、ナノテクノロジー・材料など第3期科学技術基本計画で重点8分野とされている各分野の特許登録件数で、米国が日欧を引き離していることを、16日付の化学工業日報が伝えている。

 特許庁が公表した「重点8分野の特許出願状況」を基にしている。

 2006年の日本の特許登録数は、重点8分野中、フロンティア分野がわずかに減ったのを除き、他の7分野すべてが前年度を上回った。

 「一方、01年以降の日米欧三極の特許出願および登録件数を分野別に比較すると、それぞれの強みと弱みがくっきりと浮かび上がる」

 情報通信関連は「出願件数は日米が拮抗するが、登録件数は米国が圧倒的に優位」。

 ライフサイエンスは「日本の登録件数の少なさが目立つ」。

 ナノテクノロジー・材料は「日本の出願件数が最も多いが、登録件数では米国に大きく水をあけられ、欧州とほぼ同じレベル」。

 エネルギー関連は「出願件数では日本が頭一つ抜けるが、登録件数は米国がトップで日欧は同水準」。

 日本が欧米を圧倒しているのは環境関連で、「02年以降に日本の出願件数が右肩上がりに増加、登録件数でも高い伸びが続き、欧米の合計を大幅に上回る水準を維持している」という。

 12、13の両日、内閣府経済社会総合研究所の主催で開かれた国際フォーラム「イノベーションとその取り組みをめぐる国際動向」でも、特許の話が出た。

 欧州連合(EU)の基調講演者は、EUの特許登録数が、日、米より少ないことを、さかんに強調していた。

 一方、米国の基調講演者は、アップル、グーグルといった最もイノベイティブと言われている企業名を上げ、企業の力量を図るうえで特許登録数を重視することに疑問を呈していた。

 これらの発言と、特許庁の公表データを併せてみるとどうなるのだろう。

 米国は、特許に依存せず急成長、高収益を上げている企業も抱えている。同時に、肝心な分野の特許登録数でもしっかり世界をリードしている、ということだろうか。日欧の関係も、EU代表が評価するほど日本は優位に立っていない、ということに。

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