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イノベーション、人材育成重視の文科省概算要求

2006.09.04

 文部科学省の概算要求が、8月31日に財務省に提出された。

 科学技術関係では、今年度からスタートした第3期科学技術基本計画で重点課題とされた分野、テーマを、当然のことながら重視した内容となっている。

 まず人材育成関連では、理数科の好きな子供を育てるための「理科支援員等配置事業」に60億円、理科教員の指導力を向上させる「ティーチャーズ・サイエンスキャンプ」に5億円を要求している。いずれも新規のプロジェクトだ。若手研究者の活躍を促す支援策として、若手対象の科学研究費補助金22億円、海外での研究機会の充実に12億円を、それぞれ新たに要求した。

 このほか大学院の教育研究機能を抜本的に強化するため、104億円、卓越した教育研究拠点(グローバルCOE)を形成するため、230億円がそれぞれ新規プロジェクトとして盛り込まれている。

 次に、基礎研究の充実とイノベーション・システムの強化の狙いから、世界トップレベル研究拠点の構築に76億円を投入する。これも新規プロジェクトだ。

 基礎研究からイノベーションの種となる技術シーズを創出するために、現行の戦略的創造研究推進事業を、よりイノベーション指向に改善した上、増強することに加え、すでにある多様な基礎研究の成果の中から、革新的技術につながるものを探すフィージビィリティスタデイを実施する費用として、新たに35億円を盛り込んだ。第3期科学技術基本計画で「国家基幹技術」に位置づけられた「宇宙輸送システム」「海洋地球観測探査システム」「高速増殖炉サイクル技術」「次世代スーパーコンピュータ」「エクス線自由電子レーザー」、さらに「ライフサイエンス」「情報通信」「環境」「ナノテクノロジー・材料」など重点分野も軒並み、今年度を上回る額が要求されている。

 研究費不正受給の再発を防ぐ「研究費の執行にかかわる指導・助言を強化するための体制整備」として、3,200万円、また各府省にまたがる研究費支給データの共通管理システム構築・運用のため、1億4,000万円が盛り込まれている。

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