ニュース

新規感染者は減少ながら再拡大の可能性も 新型コロナで厚労省が予防対策の継続求める

2020.09.16

 厚生労働省はこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新たな感染者数が8月第1週をピークに全国的に減少し、入院患者や重症者の数、入院患者の死亡割合も減っているとの分析結果をまとめた。同時に今後も感染が再拡大する恐れがあり、引き続き感染予防対策の実施を求めている。

 厚労省がまとめた分析結果の資料によると、6月下旬以降全国的に感染拡大したが、新規感染者数は8月第1週以降減少が続いており、お盆を挟んでもその傾向は維持されている、とした。「流行曲線」を示す発症日ごとの新規感染者数の推移も7月27〜29日以降、全国的に減少傾向が続いている。

新型コロナウイルス感染症の日ごとの全国陽性確認者数の推移(9月14日現在、厚生労働省提供)
新型コロナウイルス感染症の日ごとの全国陽性確認者数の推移(9月14日現在、厚生労働省提供)

 人口10万人当たりの9月1日から7日まで1週間の累積感染者数は、東京都が7.41人、大阪府が6.24人で、8月初旬の東京都の17.41人、大阪府の14.37人より下がり、全国平均では3.00人(8月5日段階で7.33人)になっている。また、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す指標「実効再生産数」は東京都、大阪府、愛知・福岡・沖縄各県では、8月22日時点で1を下回っている。

 こうした傾向の要因として厚労省は、都道府県による接待を伴う飲食店など「感染ハイリスク」の場への対策の徹底や感染リスクがある行動の自粛要請のほか、市民の行動変容を挙げた。ただ、東京都と大阪府の実効再生産数は0.9台で、再拡大への警戒を続ける必要があるとした。また、宮城と三重の両県では感染拡大が見られ、感染者の動向は地域によって異なるため注意が必要であることも指摘している。

 このほか9月に入ってからの傾向として、入院患者数や重症者数が減少している。9月2日現在の入院患者数と受け入れ確保病床に対する入院患者割合はそれぞれ、東京都は1418人と35.5パーセント、全国では4993人と18.9パーセントとそれまでと比べ減少傾向にあった。重症者についても7月上旬以降増加していたが、8月下旬以降減少傾向になっている。

 入院患者の死亡割合も6月以降減り続けている。入院患者の死亡割合について厚労省は、国立国際医療研究センターが全国の入院患者約6100人を6月5日以前と6日以降に分けて調べたデータを基に分析した。6月6日以降に入院した患者の死亡割合は5日以前の入院患者と比べてどの年代でも低くなっていた。

 5日以前は入院時に重症だった人の死亡割合が全世代平均で19.4パーセントだったのが、6日以降は10.1パーセントに減少した。特に50〜69歳は10.9パーセントから1.4パーセントに激減、70歳以上も31.2パーセントから20.8パーセントに減っている。軽症、中等症の入院患者をみても、全世代平均で5日以前は2.6パーセントだったのが6日以降は0.5パーセントに低下している。

 死亡割合の低下の傾向について厚労省は、検査体制の拡充により多くの感染者、特に比較的健康な高齢の感染者を早く確認できるようになったこと、若い世代の感染者と入院患者の割合が高まっていること、標準的な治療法が浸透して患者に対する医療が改善されたことなどを要因に挙げている。

 厚労省は今回の分析結果について「新規感染者数の減少が続いているが、今後再拡大の可能性がある。引き続き『3密』や互いに大声を上げる環境の回避、室内でのマスク着用、フィジカル・ディスタンスの徹底、換気の徹底など基本的な感染予防対策の実施や、院内・高齢者施設における施設内感染対策、クラスターが起きた場合の早期対応などをこれからも必要な対策を継続すべき」と強調している。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の電子顕微鏡画像(米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)提供)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の電子顕微鏡画像(米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)提供)

関連記事

ページトップへ