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日本の南近海の海面水温上昇で台風勢力強まる恐れ 8月は3海域で最高水温と気象庁

掲載日:2020年9月3日

8月は日本の南の太平洋3海域の海面水温と東日本の平均気温が、いずれも統計開始以来最も高かったと気象庁が1日、発表した。海面水温は9月下旬までかなり高い見込みで、この海域を通過する台風は勢力が強まる恐れがあるという。3日現在、台風10号が急発達しながら九州の西の海上を北上すると予報されており、厳重な警戒が必要だ。

気象庁は日本の周辺海域を10に区分して海面水温を観測している。発表によると、8月の平均海面水温は、日本の南の太平洋海域である「沖縄の東」海域が30.7度(平年差プラス2.1度)、「四国・東海沖」海域が29.8度(同1.7度)、房総半島南東に広がる「関東南東方」海域が29.3度(同1.6度)で、いずれも1982年の統計開始以来の最高を記録した。同庁はこの結果について、東・西日本から南海上にかけて張り出した太平洋高気圧が強く、暖かい空気に覆われて日射量が増えたことが主な原因としている。

8月の平均海面水温。30度以上の海域が広がっている(気象庁提供)
8月の平均海面水温。30度以上の海域が広がっている(気象庁提供)
8月の平均海面水温偏差(平年平均との差)。西日本の南方の太平洋海域で今年の海面水温が高いことを示している(気象庁提供)
8月の平均海面水温偏差(平年平均との差)。西日本の南方の太平洋海域で今年の海面水温が高いことを示している(気象庁提供)

台風が発達するエネルギー源は水蒸気で、海水の蒸発が盛んになる海面水温26度以上の海域で発生するとされている。また一般的に台風は海面水温が高い海域を通過すると、海面から生じる大量の水蒸気を取り込んで勢力が強まったり、強いまま維持したりする恐れがあるという。

3日現在、台風10号は発達しながら日本の南の太平洋海域を北西に進んでいる。小笠原近海で発生した1日夜には中心気圧は1000ヘクトパスカル前後だったが、3日午前には970ヘクトパスカルになった。気象庁は、台風10号は今後、海面水温が高い海域を通過する可能性が高く、急発達しながら九州付近に接近する可能性が高いと予報している。そして接近時には「特別警報級の勢力になる」と最大級の警戒を呼び掛けている。

長く世界の海水温の研究を続けてきた気象庁気象研究所の石井雅男研究総務官によると、海面水温の上昇は主に地球温暖化に伴う海洋貯熱量の増加によるもの。温暖化によって地球表層に蓄積された熱の90パーセント以上が海に貯められている。海水温の上昇は世界の多くの海洋で観測されている。日本近海でも顕著で、長期的にみると海面水温の平年値は過去100年に1.14度上昇しているという。

気象庁は1日、夏(6~8月)の天候についても統計結果を発表した。それによると、8月の東・西日本は勢力の強い太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。一方、北日本の天気は数日の周期で変わり、8月前半は低気圧や前線の影響で日本海側を中心に曇りや雨の日が多かった。全国的に暖かい空気に覆われやすかったために気温は高く、8月の東日本の月平均気温の平年差はプラス2.1度で、8月の月平均気温としては1946年の統計開始以来の最高を記録。西日本も同1.7度で2010年の最高記録と並んだ。

8月の気温を細かくみると、10日から22日にかけてと25日以降、全国 921の観測地点中100 地点以上で猛暑日が続いた。17日には浜松市で全国の最高記録タイの 41.1度を観測した。

今年6~8月の平均気温が平年と比べて高かったことを示している(気象庁提供)
今年6~8月の平均気温が平年と比べて高かったことを示している(気象庁提供)
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