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金星の大気高速周回、原因は熱が生む波 探査機あかつきで解明

掲載日:2020年4月28日

大気が高速で周回する現象「スーパーローテーション」が金星で起きている原因が、太陽光による熱が生む周期的な波であることを探査機「あかつき」で解明した、と宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究グループが24日、発表した。あかつきの探査計画はこの現象の解明を主目的としており、論文が同日付の米科学誌「サイエンス」に掲載された。

探査機「あかつき」が2016年3月に撮影した金星。疑似カラー(JAXA提供)
探査機「あかつき」が2016年3月に撮影した金星。疑似カラー(JAXA提供)

グループは雲の動きを高精度で追う紫外線カメラ観測の新手法を開発し、風速を細かく求めることに成功。赤外線カメラの温度計測も活用し、スーパーローテーションの原因を探った。

その結果、太陽光によって惑星の大気が昼に温まり夜に冷えることで、温度が潮の満ち干のように周期的に変化して生まれる「熱潮汐波」が原因であることが分かった。熱潮汐波が起きる時に大気に働く力が、赤道付近の上空の大気を西向きに押し、スーパーローテーションを維持する働きをしていた。

スーパーローテーションは大気が天体の自転の速さを超えて周回する現象。金星ではほぼ全球に及んでおり、高度70キロ付近では自転の60倍にあたる秒速100メートルに達している。1960年代に発見された。

惑星の大気には「ハドレー循環」と呼ばれる南北の大規模な循環があり、赤道付近の熱を極地方へと運んでいる。この南北循環の影響で、東西方向の風は長期的には、全体として弱まることになる。ところが実際には、金星では東風であるスーパーローテーションが保たれており、その鍵となる赤道付近の加速の原因解明が最大の課題だった。

グループの堀之内武北海道大学准教授(気象学)は「金星の大気から、地球などの惑星の大気循環の理解を深められる。発見が相次いでいる系外惑星の大気や、その地表への影響の研究にも役立ちそうだ」と述べている。

金星を探査する「あかつき」の想像図(JAXA提供)
金星を探査する「あかつき」の想像図(JAXA提供)

JAXAが開発したあかつきは2010年5月に地球を出発。同年12月に金星の周回軌道への投入を試みたが、主エンジンが故障し失敗。15年12月に姿勢制御エンジンで再挑戦して成功し、当初計画と異なる軌道を回って探査を続けている。

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