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インフルエンザウイルス侵入の鍵を握るタンパク質が分かった 北大グループ解明

掲載日:2018年5月28日

インフルエンザウイルスが体内に侵入して感染するプロセスの鍵となるタンパク質を発見した、と北海道大学大学院の研究グループがこのほど発表した。一般によく使われている高血圧治療薬が感染防止の特効薬になる可能性があるという。研究成果は米医学専門誌「セル・ホスト・アンド・マイクローブ誌」に掲載された。

インフルエンザの感染は細胞にウイルスが侵入することから始まるが、詳しい侵入プロセスなどは分かっていなかった。ウイルスの侵入時にこのウイルスの受容体となるタンパク質が細胞にあるとされていたが、40年以上に及ぶ研究でもこの受容体タンパク質は特定されていなかった。

今回研究成果を発表したのは北海道大学大学院医学研究院の大場雄介教授、藤岡容一朗講師ら。大場教授らは、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇することがインフルエンザウイルスの侵入に重要であることを既に明らかにしている。カルシウムイオンはカルシウムの原子がプラスの電気を帯びたもので、濃度はカルシウムイオンが細胞外から細胞内に流入して上昇するという。

今回研究グループは新たな研究、解析を続け、カルシウムイオン濃度を制御する「カルシウムチャネル」と呼ばれるタンパク質が、インフルエンザウイルス感染の鍵となる受容体タンパク質であることを突き止めた。このカルシウムチャネルは主に細胞膜に存在し、高血圧症にも関係している。その働きを阻害する薬は「カルシウムチャネルブロッカー」と呼ばれて広く高血圧治療に用いられている。

研究グループは、そのカルシウムチャンネルブロッカーが感染予防の働きをするのではないかと考え、同ブロッカーを投与したマウスと投与しないマウスそれぞれのグループに分けてインフルエンザウイルスを感染させる実験を行った。すると、投与しなかったマウスはいずれもウイルス感染して体重が減少し4日で死亡した。一方投与したマウスの体重はそろって一度減少したがその後健康な状態に戻ったという。

この結果から大場教授らは、カルシウムチャネルブロッカーが実際にインフルエンザウイルス感染を抑えることを確認できた、としている。高血圧治療薬としてよく使われているカルシウムチャネルブロッカーが感染防止の特効薬になる可能性があるという。

画像 インフルエンザウイルスが細胞に感染する基本的な仕組み(提供・北海道大学)
画像 インフルエンザウイルスが細胞に感染する基本的な仕組み(提供・北海道大学)
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