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ガラスはどうしてそういう性質になるのかを原子レベルで解明 世界初

掲載日:2017年6月6日

窓やコップ、食品の保存容器、カメラのレンズに宝飾品・・・。ガラスは私たちの身の回りにあるごくありふれた素材だが、ミクロの目で見たとき、どんな原子がどのように結び付いているのかは、いまだによく分かっていない。京都大学原子炉実験所の小野寺陽平(おのでら ようへい)・助教らのグループはこのほど、大型放射光施設SPring-8などによるガラスの観察と理論研究を組み合わせ、ガラスを構成する原子が結び付いている立体的な構造を世界で初めて解明したと発表した。

たとえば食塩は、ナトリウム原子と塩素原子が規則的に繰り返して並ぶ結晶になっている。それに対し、ケイ素や酸素などの原子でできているガラスは、各原子が食塩のように整然と並んでいるわけではなく、そのため、原子同士の結び付き方をきちんと観察することができなかった。

小野寺さんらは、強いX線を出せるSPring-8などを使って、リンと酸素の原子からできている「リン酸塩ガラス」を観察した。さらに、原子同士がどのように結び付いていれば、観察した結果に合致するガラスになるのかを、理論的に推定した。

その結果、「酸化亜鉛」をこのリン酸塩ガラスに加えていくと、その量が少ないうちは、リンと酸素が骨格となってガラスを形作っていたのに対し、多くなると、リンの代わりに亜鉛が骨格となっていることが分かった。

このガラスは、熱を加えたときに膨張する程度が、酸化亜鉛が少ない場合と多い場合とでまったく違う。小野寺さんによると、その原因が、ガラスの骨格をつくる「主役」の交代にあったことを突き止めたのは、世界で初めてだという。

リンと酸素が骨格となるガラスの構造(左)と、亜鉛と酸素が骨格の構造(右)(京都大学などの研究グループ提供)
リンと酸素が骨格となるガラスの構造(左)と、亜鉛と酸素が骨格の構造(右)(京都大学などの研究グループ提供)
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