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132億年前の最古の銀河を発見 国立天文台も参加する国際観測チーム

2017.03.09

 国立天文台(NAOJ)は8日、132億年前に誕生した最古の銀河を同天文台も参加する国際観測チームが見つけたと発表した。ビッグバンにより宇宙が誕生してから約6億年後に誕生した銀河で、これまで観測された最古の銀河よりさらに1億年古いという。

 NAOJによると、この銀河は「A2744_YD4」。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンを中心に同天文台(NAOJ)や米航空宇宙局(NASA)なども参加する国際観測チームは、米ハッブル宇宙望遠鏡で発見した銀河団「エイベル2744」にある銀河「A2744_YD4」を南米チリにある「アルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)」で詳しく調べた。

 この銀河に含まれるちりや酸素が放つ電波の分析結果などから、今から132億年前の銀河と判明した。チリにある欧州南天天文台の「大型光学赤外線望遠鏡VLT」による観測でも同じ結果になった。この銀河の星の総質量は太陽の20億倍もあるという。

 国際観測チームは「今後も同じような観測を進めることにより宇宙初期の星の誕生までたどることができるだろう」とし、NAOJは「宇宙で最初の星が誕生していた時代にまた一歩迫る成果」としている。

画像1 ハッブル宇宙望遠鏡で観測された銀河団「エイベル2744」。銀河団の画像の一角(左上)に今回観測された銀河「A2744_YD4」が位置している。右上の四角内はその拡大画像で、アルマ望遠鏡で観測されたちりからの光が赤色になっている (提供・ ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA, ESA, ESO and D. Coe(STScI)/J. Merten (Heidelberg/Bologna))
画像1 ハッブル宇宙望遠鏡で観測された銀河団「エイベル2744」。銀河団の画像の一角(左上)に今回観測された銀河「A2744_YD4」が位置している。右上の四角内はその拡大画像で、アルマ望遠鏡で観測されたちりからの光が赤色になっている
(提供・ ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA, ESA, ESO and D. Coe(STScI)/J. Merten (Heidelberg/Bologna))
画像2 138億年前のビッグバンから現在までの宇宙の歴史の模式図。宇宙誕生後数億年後に最初の天体が生まれ、それらが進化して現在の宇宙を形作っていることを示している(提供・国立天文台)
画像2 138億年前のビッグバンから現在までの宇宙の歴史の模式図。宇宙誕生後数億年後に最初の天体が生まれ、それらが進化して現在の宇宙を形作っていることを示している(提供・国立天文台)
画像3 今回観測された132億光年かなたにある銀河A2744_YD4の想像図(提供・ESO/M. Kornmesser)
画像3 今回観測された132億光年かなたにある銀河A2744_YD4の想像図(提供・ESO/M. Kornmesser)

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