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DNA解析法により1日で魚種の8割検出

掲載日:2017年1月20日

海水のDNAを解析する新技術を活用してわずか1日の調査で魚種の8割を検出できた、と神戸大学や京都大学などの共同研究グループがこのほど発表した。このDNA解析法の有効性を実証した成果で、研究グループはこれまでの調査方法では難しかった場所での魚類群集モニタリングが可能になる、としている。

この新技術は海水中に含まれる排泄物などのDNAをフィルターでろ過して抽出し、生息する魚種を明らかにする「環境DNA多種同時検出法(メタバーコーディング)」と呼ばれる方法。これまでの海洋魚類生物相調査は魚種を外見によって区別する潜水や捕獲による方法に頼っていたため多くの人手と長い時間が必要な上、魚種を区別する専門知識も求められていた。

神戸大学大学院人間発達環境学研究科の山本哲史(やまもと さとし)学術研究員や京都大学 フィールド科学教育研究センターの益田玲爾(ますだ れいじ)准教授のほか、北海道大学や龍谷大学、千葉県立中央博物館らの研究者も参加した共同研究グループは、京都府北部の舞鶴湾でこの環境DNAメタバーコーディングを使いわずか1日の海水試料調査で128種もの魚類のDNAを検出することに成功した。これまでの潜水目視観察では確認されていない魚種も検出できたという。

この128種は2002年から14年間、計140回の潜水目視調査で観察された魚種の6割以上に当たり、ある年だけ偶然舞鶴湾へ回遊してきた魚種を除くと、長年の観測により確認された魚種の8割近くを1日の調査で確認できたことになるという。

研究グループは、採水だけで短期間に多地点の魚類相を明らかにできる環境DNAメタバーコーディングの有効性や制度を実証できたとしており、今後外来種の侵入や分布拡大の調査、アクセスが難しい深海や危険な汚染水域、生物採集の禁止区域での活用が期待できる、としている。

この研究は科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として行われた。

写真1 環境DNAメタバーコーディングで魚種を検出するために採水する様子 (神戸大学、京都大学など研究グループ提供)
写真1 環境DNAメタバーコーディングで魚種を検出するために採水する様子 (神戸大学、京都大学など研究グループ提供)
写真2 従来の潜水目視調査で観察できる魚類 (神戸大学、京都大学など研究グループ提供)
写真2 従来の潜水目視調査で観察できる魚類 (神戸大学、京都大学など研究グループ提供)
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