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「環境危機時計」4分進んで「極めて不安」な9時31分に

2016.09.09

 公益財団法人旭硝子財団は8日、世界の環境有識者アンケートを基に環境問題の危機感を時刻で示す「環境危機時計」の12時間で見る世界平均時刻は、今年は昨年より4分進んで「極めて不安」な時間帯の「9時31分」になったと発表した。1992年の調査開始以降で2番目に遅い時刻で、回答者の27%が「気候変動」に危機感を示した。

 環境危機時計は、同財団が1992年から「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」結果を基に危機感を示す時刻を発表している。世界各国の政府・自治体、非政府組織(NGO)、大学や研究機関、企業などの環境問題に関わる有識者に調査票を送付し、危機時刻を記入してもらう。今年は日本を含む143カ国1,882人から回答を得たという。

 危機感を示す時刻は、0時1分から3時0分までが「ほとんど不安がない」、3時1分から6時0分までが「少し不安」、6時1分から9時0分までが「かなり不安」、9時1分から12時0分までが「極めて不安」を表し、12時に近づくほど深刻であることを意味する。

 今年の世界全体の平均時刻は昨年より4分進んで9時31分。2007年と同時刻で調査開始以来2番目に遅い。時刻記入に当たり念頭に置いた項目として多かったのは「気候変動」で回答者の27%が選択、次いで「生物多様性」(12%)、「環境汚染」(11%)だった。

 過去の時刻は、初回で気候変動枠組み条約が採択された1992年が7時49分、温暖化防止の国際枠組みの「京都議定書」が議決された1997年は前年より9分戻り9時4分。2015年は9時27分で、同年12月に新しい枠組み「パリ協定」が採択されたが今年の時刻は戻らず4分進んでしまった。

 地球規模の危機感を概念的に表す時計としては、核戦争による地球破滅を「午前零時」とする米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の「終末時計」が世界的に有名。1947年から公表されているが、2015年は核兵器削減交渉の停滞に加えて地球温暖化防止策の遅れなどを指摘して強い危機感を示し、「終末」まで「残り3分」となり16年1月公表の時刻も「残り3分」のままだった。

図「9時31分」になった2016年の環境危機時計(旭硝子財団作成・提供)
図「9時31分」になった2016年の環境危機時計(旭硝子財団作成・提供)

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