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期待のALS新薬の臨床試験実施 東北大と大阪大が効果確認へ

掲載日:2016年5月16日

東北大学と大阪大学の研究グループが、全身の筋力が次第に低下する難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の新薬の臨床試験(第Ⅱ相試験)を近く開始する。新薬は、運動神経を保護する肝細胞増殖因子(HGF)と呼ばれるタンパク質でできており、今回の臨床試験で症状改善効果が確認されれば初の本格的な治療薬となる可能性が高い、と国内外から結果が注目されている。

東北大学大学院医学系研究科の青木正志(あおき まさし)教授(神経内科)は、HGFというタンパク質に着目して新薬研究を続けてきた。これまでに、ラットの実験で筋力低下が実際に抑制され、生存期間が約1.6倍延びることを確認。2011~14年に軽症のALS患者計15人を対象に第Ⅰ相の臨床試験を実施し、患者にHGFを最長5週間投与して副作用がないことを確認した、という。

近く開始する第Ⅱ相の臨床試験は、年齢20歳以上70歳以下で発症2年半以内の症状が軽い患者計48人が対象。東北大学病院と大阪大学病院に24人ずつに分かれてもらいHGFを2週間に1回、最長1年間投与する治療を続けて症状改善効果を検証する。

ALSは、症状が進むと全身が動かなくなり、やがて歩行や呼吸が困難になる厚生労働省指定の難病。人工呼吸器を装着することで内臓の機能や感覚、知能、視力や聴力などは保たれるケースが多い。発症割合は少なくとも年間10万人に1人とされ、患者は国内で推定9千人以上、世界で同35万人。40~60代が多く男性が女性の約2倍とされる。根本的な治療法は見つかっていない。

ALSについては、いくつかの既存薬があるが症状の進行を抑える効果は十分出ていないのが実態。HGFは日本で発見された生理活性物質で、その後の研究で細胞死を防いだり血管新生を促す働きがあり、疾病により障害された組織の再生や保護に関わっているとされる。

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