海洋研究開発機構と高知大学は、日本列島の南東約1,800キロ、南鳥島の南西方向にある拓洋第5海山と呼ばれる海底で、希少金属(レアメタル)とレアアースを大量に含む岩石層を発見した、と9日発表した。
この岩石は「コバルトリッチクラスト」と呼ばれ、コバルト、ニッケル、白金などの希少金属(レアメタル)やレアアースの資源として期待されている。海洋研究開発機構の無人探査機「かいこうMk-IV」による調査の結果、拓洋第5海山の斜面にコバルトリッチクラスト層を発見、水深約4,500メートルの地点から厚さ約2?7センチメートル、さらに南方の水深5,500メートルの地点では幅30?40センチ、厚さ約3?8センチの板状試料を多数、採取した。
研究グループによると、形成後時間が経過した古い海山の斜面には、海山を形成する玄武岩や石灰岩などの基盤岩を覆うように鉄・マンガン酸化物を主体とした厚さ数ミリメートルから10センチメートル余りのコバルトリッチクラストが広く分布している。コバルト、ニッケル、白金などの希少金属やレアアースなどを含む海底金属資源として注目されている。水深5,500メートルを超す水深の海底でコバルトリッチクラストの確認と採取に成功したのは世界で初めて。
今後、採取した試料を詳細に調べ、コバルトリッチクラストの成因の解明を進め、海洋資源調査技術の開発につなげていく、と研究グループは言っている。
関連リンク
- 海洋研究開発機構・高知大学プレスリリース「5,500mを超える大水深に広がるコバルトリッチクラストを確認~コバルトリッチクラストの成因解明に大きな前進~」