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各国削減目標5年ごとに見直し COP21合意案

2015.12.07

 パリで開かれている国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の事務レベル作業部会が、地球温暖化対策の新たな枠組みに関する合意案をまとめた。合意案は「パリの成果文書」として作業部会最終日の5日に採択され、7日から始まる閣僚級会合に提出された。閣僚級会合で最終合意を目指す。合意案やこれまでの作業部会の議論から、各国が提出した温室効果ガス排出削減目標を5年ごとに見直す一方、京都議定書のような目標達成は義務化されないことで最終合意しそうだ。しかし、発展途上国向け支援の仕組みや、新たな枠組みの基本となる世界共通の長期削減目標などについては、各国間で依然意見が対立しており、11日の会議最終日まで激しいやり取りが続きそうだ。

 条約事務局が公表した合意案は、26条項、本文43ページ。ほとんどの項目で複数の選択肢や括弧付きの留保項目があり、最終合意の詳しい内容は見通せないことを示している。日本政府交渉関係者らによると、主要条項の中では、各国目標を5年ごとに見直すことについては強い反対はなく、最終合意内容に盛り込まれることはほぼ確実、という。各国が既に提出している排出削減目標を足し合わせても「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑える」という国際目標には及ばないためだ。

 このほか、海面上昇や干ばつなどの温暖化による被害を減らすための国際的救済策を具体的に進めることについても最終合意内容に盛り込まれそうだ。

 しかし、「2度未満目標」達成のために必要な世界共通の長期削減目標の具体的内容についての条項は、「2060-80年までに温室効果ガス排出をゼロにする」という選択肢も残っている一方、2050年までに達成する目標についての削減基準年や削減率の数字が「X」や「Y」になっている選択肢もあるなど、閣僚級会合では長期削減目標に積極的な国と消極的な国との間で激しいやり取りが予想される。このほか、先進国と発展途上国に求める温暖化対策にどう差をつけるかという「差異化」の問題や、新たな枠組みの名称などについても、着地点が見通せない。

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