ニュース

温暖化対策に工学の力生かせ 世界工学会議が京都宣言

2015.12.04

 世界の工学関係者が参加して京都市で開かれていた「第5回世界工学会議」(会長・佐藤順一日本工学会会長)は「工学は、温暖化を加速する二酸化炭素(CO2)排出を削減するためにその力をしっかり生かさなければならない」などとする「京都宣言」を2日採択、世界工学団体連盟(WFEO)総会を含めた全日程を4日終了した。

 会議はWFEO が4年ごとに開催。日本では初めてで、WFEOのほか国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)、日本学術会議、日本工学会が主催した。日本経済団体連合会(経団連)、科学技術振興機構(JST)、などが発起人。世界約80カ国から約2千人の研究者、技術者、行政担当者らが集まり11月30日から熱心な討議などを続けていた。30日の開会式には皇太子さまがあいさつされ、「社会のための工学」を議論する国際会議の意義をたたえられた。

 5回目を数える今回の会議は、「イノベーションと社会」をメーンテーマに土木建築、都市工学、情報技術、バイオテクノロジーなど多様、多彩な工学分野にわたり特別基調講演、総括講演やシンポジウム、展示などが企画された。2011年3月に東日本大震災を経験した日本での開催であることから、さまざまな企画を通じて、地球温暖化対策などの環境問題のほか、資源、人口、エネルギーなど、社会に関わる重要な分野で最新の工学の成果を生かし、貢献するために何ができるか、何をすべきか、について議論された。

 京都宣言は会議の目的や議論を踏まえてまとめられた。

 京都宣言の要旨は次の通り(全文は公式サイト「京都宣言」参照)

  • 工学の研究技術者は、社会に関心を持たなければならない
  • 工学の研究技術者は、貧困や飢餓の問題を解決するためにそれぞれの国の特性に応じて工学イノベーションを成し遂げなければならない
  • 工学の研究技術者は、高齢化社会のより良い生活構築に貢献しなければならない
  • 工学は、温暖化を加速するCO2排出を削減するために多様なエネルギー源、発電技術、エネルギー利用技術、省エネ技術の研究開発の分野でその力をしっかりと生かさなければならない
  • 工学は温暖化による影響を緩和するために、また人々にとって安全な大気や水、土壌を確保するために地域の特性に合った工学イノベーションを図らなければならない
  • 工学教育は重要であり、学校だけでなく社会のさまざまな場面で行われなければならない
  • 女性の工学分野への進出は、経済発展を担う人材を確保するためにも女性の工学教育の場を充実させなければならない
  • 工学の研究技術者は、社会の一員として、安全な社会をつくるよう活動しなければならない

ページトップへ