ニュース

STAP作れず検証終了、小保方氏退職

2014.12.19

 新しい万能細胞として注目されたSTAP現象の再現はできず、検証も終わった。理化学研究所(理研)は12月19日、都内で記者会見を開き、理研発生・再生科学総合研究センター(現・多細胞システム形成研究センター、神戸市)で4月から続けていたSTAP細胞の検証実験の結果を報告して明らかにした。STAP細胞研究の中心だった小保方晴子(おぼかた はるこ)氏は9月から同センターで独自に検証実験を進めていたが、STAP細胞は作製できなかった。小保方氏は退職願いを提出し、理研は退職を認めた。

 STAP細胞に関する論文2編は1月30日付の英科学誌ネイチャーに発表されて、生物学の大発見として反響を呼んだが、論文のデータや再現性などについてすぐ数々の疑問が指摘され、ねつ造や改ざんなどの研究不正と認定されて、論文が7月に撤回された。研究不正の調査とは別に、理研は検証実験に取り組んでいた。その期限は2015年3月末だったが、さまざまな方法を試みても、万能性を持つ細胞はできないため、検証を打ち切った。

 会見には、検証チーム責任者の相澤慎一(あいざわ しんいち)特別顧問、検証実験を担当した丹羽仁史(にわ ひとし)チームリーダーらが出席した。理研の検証チームと小保方氏はそれぞれ、実験を何度も繰り返した。論文と違う手法でも試みた。万能性の可能性を示す緑色に光る細胞もあったが、詳しく調べると万能性はなかった。細胞の万能性を立証するため、別のマウスの受精卵に注入して全身に混ざる「キメラマウス」が生まれるかどうかを確かめる実験を行ったが、「有意なキメラはまったく得られなかった」とした。

 小保方氏は会見に出席しなかったが、「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、悔やまれます。今は疲れ切り、このような結果にとどまってしまったことに大変困惑している。責任を痛感し、おわびの言葉もない」とのコメントを出した。理研の野依良治(のより りょうじ)理事長は「今回の検証でSTAP現象の確認に至らず、検証計画を終了する。小保方氏にこれ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することにした。前向きに新しい人生を歩まれることを期待している」とコメントした。

 理研は、外部の有識者からなる第三者委員会にSTAP細胞論文の不正に関して調査を委ねており、その結果を待って、小保方氏ら関係者の懲戒処分を検討する。また、STAP細胞に関して出願中の国際特許についても放棄を含めて、共同出願している研究機関と協議していくとした。

ページトップへ