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ネイチャーがSTAP論文を撤回

2014.07.03

 英科学誌ネイチャーは7月2日、理化学研究所(理研) 発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子研究ユニットリーダーらが執筆した1月30日付同誌掲載のSTAP細胞論文2編を取り下げたと発表した。分化した体細胞が弱酸性などの刺激によって多能性を獲得するという「生物学の常識を覆す」STAP現象は発表から5カ月で振り出しに戻った。

 7月3日付のネイチャーで、小保方氏ら著者は「理研調査委員会が指摘した研究不正のほかに、2編のSTAP細胞論文に5項目の誤りがあった」と認め、謝罪した。さらに「こうした複数の誤りは、この研究の全体としての信頼性を損ねるもので、STAP幹細胞に関する現象の真実性を疑いなく、述べることはできない」と報告し、誤りが多岐にわたることから、撤回を妥当とした。

 ネイチャー編集部は、論文掲載前に不正を見抜けなかったことなどを「遺憾」と表明し、掲載する論文のチェック体制を見直すことを明らかにした。また、論文共著者も理研を通じてコメントを出した。笹井芳樹理研副センター長は「多くの混乱と失望を生んだことを、心中より深くおわび申し上げる」、若山照彦山梨大学教授は「研究者にとって最もつらい選択だが、論文撤回は必要な措置」、丹羽仁史理研プロジェクトリーダーは「疑問点については今後も解明に真摯に対応していく」とした。

 STAP論文の撤回は、理研発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長がまず、論文に数々の疑義が指摘されるようになった3月に論文の著者らに求めた。改ざんやねつ造の研究不正を認定した理研調査委員会の結論が5月に確定した後には、理研の野依良治理事長が論文撤回を勧告していた。しかし、撤回に関して小保方氏ら日米の共著者計14人全員の同意が得られるのが遅れたため、大幅にずれ込んだ。

 論文への調査とは別に、STAP細胞があるかどうかの検証実験は4月から、理研発生・再生科学総合研究センターで続いている。小保方氏も7月2日、同センターに出勤して、再現実験チームとは独立して、厳しい監視のもと、検証に取り組み始めた。

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