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震災後に「けいれん発作」増加

2013.01.31

 ストレスから手足が震える「けいれん発作」を起こす患者が、東日本大震災後に急増していたことが、被災地の宮城県気仙沼市の気仙沼市立病院と東北大学の共同研究で分かった。生命の危機にひんするような経験や避難所生活などによるストレス環境が原因とみられる。

 研究グループは、2011年3月11日の震災発生の前後8週間に同病院で緊急治療を行った脳神経疾患患者について、過去3年間の同時期の患者と比較調査した。そのうち、けいれん患者数は08年は55人中6人(10.9%)、09年57人中3人(5.3%)、10年は48人中0人(0%)と減少していたが、11年は66人のうち13人(19.7%)と増加した。

 11年のけいれん患者13人のうち11人(85%)には何らかの脳疾患の既往があったが、日常生活の自立度を示す「バーセルインデックス」(Barthel Index)の値は比較的高く保たれていた。しかし、これらの患者の多くは、栄養状態の不良による「低タンパク血症」を示し、炭水化物に偏りがちな震災後の食生活の影響が考えられた。

 同研究は、ストレス環境がけいれん発作を増加させることを疫学的に初めて示したもので、医学専門誌「Epilepsia」(オンライン版)に論文が掲載された。

 脳神経外科医が常勤している同病院は地域の神経救急医療の中核を担っており、震災によって孤立したことから、人口移動に起因する偏りを排除した研究を行うことができたという。

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