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朝日から夕陽まで利用の発電・給湯システム

掲載日:2013年1月11日

ロータリー熱エンジンとフレネル・サン・ハウスの図
太陽光エネルギー
(提供:理化学研究所)

理化学研究所と熱利用技術会社「ダ・ビンチ」(本社・奈良県大和高田市)は、高精度レンズを立体的に組み合わせて、朝日から夕陽までの太陽の光熱エネルギーを効率よく回収し、発電や給湯に利用する熱電併給システムを開発した。再生可能エネルギーの新しい可能性を開くものだという。

太陽光エネルギーを発電に利用するソーラーパネルは、実際的な光電変換効率こそ20%前後だが、▽天候によって発電量が左右される▽蓄電装置のコストが高い▽廃棄するときパネル材料に含まれる重金属を分離する技術が未確立である — ことなどの課題がある。研究チームは、太陽光エネルギーの熱に着目し、熱交換器経由で水を温めて蓄熱し、その熱エネルギーを発電や給湯に利用するシステムを考案した。

このシステムでは、朝日から夕陽までどの角度からの太陽光も光熱エネルギーとして回収できるように、同心円状に刻んだ溝で効率良く集光できる「フレネルレンズ」のパネルを立方体状に組み合わせた。その立方体の内部にはアルミ合金でできた逆T字型の熱交換器を置き、水平・垂直のどの方向からの光熱エネルギーも逃さない構造とした。熱交換器の下には水を満たした蓄熱タンクを設け、温水の熱エネルギーを「ロータリー熱エンジン」に供給して発電機を回し発電する。

「フレネルレンズ」は透明度が高く、表面の粗さが20ナノメートル(1ナノは10億分の1)という高精度レンズで、同研究所・大森素形材工学研究室が超高エネルギー宇宙線を観測する望遠レンズとして開発中だ。「ロータリー熱エンジン」はダ・ビンチ社が開発した熱エンジンで、温水の熱で代替フロン(HFC245faなど)を気化してロータリーを回転させる。40℃-200℃の低温度域の廃熱や太陽熱を高効率で利用できるという。

今回の開発は、同研究所の「産業界との融合的連携研究プログラム」にもとづき2012年4月発足した「理研社会知創成事業イノベーション推進センター」内の「光熱エネルギー電力化研究チーム」(チームリーダー、東謙治ダ・ビンチ社長)が取り組んだ。研究チームは2013年中に、一般家庭で1日に平均的に必要となる出力1kW(キロワット)クラスのシステムを試作し、14年に10kW実証システムの完成を目指す。また、地方自治体と連携して、太陽光熱の有効利用と分散型電源の確立を目指したパイロットプラントの建設にも乗り出す考えだ。

なお、この開発システムに関して、同研究所では、一般向けシンポジウム「明るい未来の光熱エネルギー」を1月16日午後1時から理研・和光研究所(埼玉県和光市)で開くほか、1月30日-2月1日に東京ビックサイト(東京都江東区)で開催される「nano tech 2013」(第12回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)にも出展する。

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