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過酷事故対策の不備認める IAEA閣僚会議提出の報告書公表

掲載日:2011年6月8日

原子力災害対策本部は7日、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する福島第一原子力発電所事故に関する調査報告書を公表した。

報告書は、外部電源と冷却機能の喪失などによってもたらされたシビアアクシンデント(過酷事故)への不断の備えが十分でなかったことを認め、事故から得られる教訓を踏まえ、原子力安全対策を根本的に見直す意思を示している。他方「安全確保を含めた現実のコストを明らかにする中で、原子力発電のあり方についても国民的な議論を行っていく必要がある」と原子力発電の是非に立ち戻って検討する可能性も伺わせているのが目を引く。

事故で明らかになった問題点としては「津波の発生頻度や高さの想定が不十分で、大規模な津波の襲来に対する対応が十分なされていなかった」「必要な電源が確保されなかった」「原子炉および格納容器の冷却機能が失われた」といった事故当初から明らかになっていた安全対策上の基本的な手落ちをあらためて並べている。

さらに、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータを当初から公表しなかった」「周辺住民などにとって重要な放射線、放射性物質の健康への影響や、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護の考え方の分かりやすい説明が十分でなかった」「海外各国からの資機材など支援の申し出に対し、十分な対応ができなかった」「低レベル汚染水の海水への放出について事前の連絡をしなかったなど、国際社会への情報提供が十分でなかった」など、国内有識者や海外などから疑問や批判の声が出ていた対応のまずさも認めている。

また、「二つの原子炉で設備を共用していたことやそれらの間の物理的間隔が小さかったことなどのため、一つの原子炉の事故の進展が隣接する原子炉の緊急時対応に影響を及ぼした」「使用済み燃料プールが原子炉建屋の高い位置にあったことから事故対応に困難をきたした」「原子炉建屋に水素が漏えいして爆発する事態を想定してなく、原子炉建屋における水素対策はとられていなかった」など基本的ともいえる技術的問題点も列挙されている。

操作の指示や実施時期など時間的なことがもっぱら問題にされた格納容器ベントシステムについては「操作性に問題があり、放射性物質除去機能が十分でなかったため、アクシデントマネジメント対策として効果的に活用できなかった。さらに、ベントラインの独立性が十分でないため、接続する配管などを通じて他の部分に悪影響をもたらした可能性がある」と、事故の前から技術的な弱点ないし問題点を抱えていたことを認めている。

安全規制の体制については「原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会や各省も含めて原子力安全規制行政や環境モニタリングの実施体制の見直しの検討に着手する」「原子力安全や原子力防災にかかわる法体系と関係する基準・指針類の見直し・整備を進める」と抜本的に見直す考えを示した。

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