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粘膜ワクチン開発につながる研究成果

掲載日:2011年2月21日

粘膜を介して感染するウイルスのワクチン開発に一歩近づく研究成果が、東京医科歯科大学 難治疾患研究所の樗木(なおてき)俊聡教授らによって得られた。

樗木教授らが着目したのは、ウイルス感染に対して免疫系を調整する働きを持つインターフェロン「Ⅰ型インターフェロン(IFN)」。Ⅰ型IFN受容体を持たないマウスで調べたところ、腸管の粘膜リンパ組織から採取した形質細胞様樹状細胞(pDC)で、APRILとBAFFと呼ばれる物質の量が減っていることが分かった。粘膜では病原体の侵入に対し、IgAと呼ばれる抗体が病原体に取り付いて防御活動をすることが知られている。APRILとBAFFの量が減ることで、IgAをつくり出す能力も著しく低下していることも分かった。

これらの結果から、腸管粘膜ではⅠ型インターフェロン(IFN)が形質細胞様樹状細胞(pDC)を刺激してAPRILとBAFFの産生を促し、その結果、IgA抗体が恒常的につくり出される、と樗木教授らは見ている。

一方、APRILとBAFFが過剰に産生すると全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や、がんの一因になるとの報告もある。今回、IgA抗体をつくる新たな仕組みが解明できたことで、まだ実用化していない粘膜ワクチンの開発に加え、自己免疫疾患の治療法開発への貢献が期待できる、と研究チームは言っている。

この研究成果は、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術」の一環として得られた。

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