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国内2例目のNDM1産生多剤耐性菌検出

2010.10.05

 新聞、放送などの報道によると厚生労働省は4日、ニューデリー・メタロΒラクターゼ1(NDM1)という酵素をつくり、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性菌がさいたま市の医療センターに入院している女性患者から検出された、と発表した。

 NDM1産生菌は、今年8月11日付の英医学誌「ランセット」電子版に報告され、国際的に注目されている新たな多剤耐性菌。英国カーディフ大学の研究者によるとNDM1産生菌は、インドの病院で手術を受けたスウェーデン人から検出された。NDMIをつくる遺伝子は肺炎桿(かん)菌と大腸菌の中に見つかったもので、異なる種の細菌を行き来できるのが特徴。

 厚生労働省は「ランセット誌」報告の報道を受け、8月18日にNDM1産生菌の疑いがある事例の報告を求める結核感染症課長名の事務連絡を都道府県・保健所設置市・特別区衛生主管部(局)長あてに出した。その後、インドから帰国し独協医大病院(栃木県)に入院した50代の日本人男性からNDM1をつくる耐性菌(大腸菌)が検出され、今回は国内2例目となる。報道によると、NDM1産生多剤耐性菌が検出されたのは90代の女性で、現在も入院中だが院内感染はないという。

 NDM1産生多剤耐性菌が注目されているのは、ほかの多剤耐性菌に効くカルバペネム系抗生物質にも耐性を持つため。ランセット誌に掲載された地図によると、NDM1産生菌保菌者はインド、パキスタン、バングラデシュ、英国に分布している。9月24日、日本記者クラブで記者会見した賀来 満夫・東北大学大学院 内科病態学講座 感染制御・検査診断学分野 教授はこの分布図とともに、他の多剤耐性菌がさまざまな伝播ルートで世界的な広がりを示している地図を示し、多剤耐性菌のグローバル化に対する対策の必要を強調していた。

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