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青色発光ダイオードの赤﨑勇氏らに京都賞

2009.06.19

 稲盛財団は19日、2009年京都賞受賞者に青色発光ダイオード(LED)の実現で先駆的な研究業績を挙げた赤崎勇・名古屋大学特別教授・名城大学教授ら4氏を選んだ、と発表した。

 赤崎氏は、ほぼ不可能と言われていた窒化ガリウム系pn接合を実現し、青色発光素子の実用化に道を開いた業績で世界的に知られる。先端技術部門での受賞となった。

 赤崎氏以外の受賞者は基礎科学部門が、英国の進化生物学者、ピーター・レイモンド・グラント博士とバーバラ・ローズマリー・グラント博士(いずれもプリンストン大学名誉教授)。思想・芸術部門がフランスの作曲家・指揮者でフランス国立音響音楽研究所名誉所長ピエール・ブーレーズ氏。

 ピーター・レイモンド・グラント、バーバラ・ローズマリー・グラント博士夫妻は、35年以上にわたるガラパゴス諸島でのダーウィンフィンチの野外研究を通じ、生物の形態や行動が環境変化に応じて急速に進化することを示した業績で進化学、生態学の分野で大きな貢献をした。

 ブーレーズ氏は作曲、指揮のほか著述、組織運営において現代音楽界に大きな足跡を残した業績が評価された。

名古屋大学 特別教授、名城大学 教授 赤崎 勇 氏
赤崎 勇 氏
進化生物学者、プリンストン大学 名誉教授 ピーター・レイモンド・グラント 氏
ピーター・レイモンド・グラント 氏
プリンストン大学 名誉教授 バーバラ・ローズマリー・グラント 氏
バーバラ・ローズマリー・グラント 氏
作曲家・指揮者、フランス国立音響音楽研究所(IRCAM) 名誉所長 ピエール・ブーレーズ 氏
ピエール・ブーレーズ 氏

 授賞式は11月10日に国立京都国際会館で行われ、受賞者にはそれぞれディプロマ、メダルと賞金5,000万円(グラント博士夫妻は折半)が贈られる。

 京都賞は、稲盛和夫・京セラ名誉会長が設立した稲盛財団が1985年に創設した国際賞で、毎年、先端技術部門、基礎科学部門、思想・芸術部門の3部門からそれぞれ受賞者が選ばれている。

 先端技術部門の受賞者となった赤崎勇・名古屋大学教授(当時)の研究成果に対しては、科学技術振興機構が企業化を促進するため、「委託開発(独創的シーズ展開事業)」に選定、1987年から90年の4年間に開発費として5億5,000万円を支出している。開発実施企業となった豊田合成株式会社は95年に事業化に成功、97年から2005年末まで9年間で、携帯電話や大型フルカラーディスプレイなどLEDを利用した同社の応用製品売り上げは約3兆6,000億円に達した。国有特許の実施料として国に45億円の収入ももたらしている。

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