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IPCC第2作業部会報告書を公表

2007.04.09

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第2作業部会が報告書をまとめ、6日公表した。

 気候変化が世界中の地域の自然と社会に影響を与えていることが明らかになった、としている。

 文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省が公表した同報告書概要によると、報告書の要点は次の通り。

 地球の自然環境は、今まさに温暖化の影響を受けている。観測されたデータ類のうち、物理環境については765観測のうち94%、生物環境については28,671観測のうち90%において、温暖化の影響が有意に現れている。

 今世紀半ばまでに河川流量と水利用可能性は高緯度、いくつかの湿潤熱帯地域で10〜40%増加するが、多くの中緯度、乾燥熱帯地域では10〜30%減少すると予測される。

 生物種の20〜30%は、平均気温の上昇が1.5〜2.5℃を超えた場合、絶滅のリスクに直面する可能性が高い。

 ほとんどのサンゴは海面温度が、平年の季節最高温度より約1℃上昇すると、白化のため大幅に衰退し、2℃に達すると死滅する。

 潜在的食糧生産量は、世界的には1〜3℃までの上昇では増加するが、それを超えると減少に転じると予測されている。

 2080年代には、人口が密集しているアジア・アフリカのメガデルタを中心に海面上昇に伴う洪水の危険に直面すると予測される。

 将来の気候変化に対応するには、適応だけでは不十分で、適応策と緩和策を組み合わせることによって、気候変動に伴うリスクを低減することができる。

 平均気温の上昇が1990年レベルから1〜3℃未満である場合、便益をもたらす地域とコストをもたらす地域が混在する可能性が高いが、一部の低緯度地域では気温のわずかな上昇でもコストが発生する可能性が非常に高い。

 平均気温の上昇が2〜3℃以上である場合には、すべての地域は便益の減少か、コストの増加のいずれかを被る可能性が非常に高い。

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